月夜に舞う桜華
「和、」
「桜姫」
スッと和の手が伸びてくる。
「やっと、全部終われる」
うっすらと微笑む和にあたしは冷たいものが背中を滑り落ちるのを感じる。
「………あたしは、終わるつもりはない」
そもそも、一方的な終りだ。それを受け入れる気は薄皮一枚程もない。
「………往生際が悪いな」
「どっちが」
「代々、桜姫が悪いんだ。俺を見ないから」
そういう対象として見たことがなかったのだから仕方がない。
言われてもきっとあたしの態度は同じ。和を受け入れることはなかっただろう。
あくまでも和は、仲間であったのだから。
「わかってるさ、それくらい」
小さくため息つく。
わかってるからこそ、止められなかったんだ。