月夜に舞う桜華
うつつの中で
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ざあぁっと風が吹き抜ける。
冷たい風を頬に感じて目を開けると知らない場所にたっていた。
綺麗な満月の光る月夜。
その下にあたしは立っている。
『ここは、……』
辺りを見渡しても真っ暗で何も見えない。あたしの周りだけを月が明るくしてくれているようだ。
ここはいったいどこだろうか。
唸りながら考えていると眼前にひらひらと何かが舞うように落ちていく。それは無数に落ちていって、手を差し出すと、その上に一枚の花弁が降りたつ。
『………桜……』
ポツリと呟くと、まるで正解といった風にあたしの頭上に桜の木が出現した。
綺麗な満開の桜だ。
手を伸ばして桜に触れようとする。