月夜に舞う桜華
やっと帰ってくれる、と心の中で安堵の息を吐く。
しかし、それはほんの一瞬の事で、あろうことか銀のメッシュはあたしの方に歩んで来たのだ。
「………あたしの話、聞いてた?」
「あぁ」
どかっと向かい側に座った銀のメッシュにあたしは頬がひきつる。
「なら、早く帰ってよ」
「嫌だって言ったら?」
「…………あ?」
優しさとか、こんな奴に必要ないわ。
むくりと体を起こしてあたしは目の前の男を睨み付けた。
「早く出ていけって言っただろ」
「………そっちが素か?」
「関係ない。出ていけ」
殺気を込めながら銀のメッシュを睨む。
しかし、銀のメッシュは動かない。
まぢで、いい加減に………。