月夜に舞う桜華
『無惨に負けて、俺は絶望したね』
そこまでいくか?と突っ込みたくなるが、その時の俺は勝つことが全てだったんだ。
『でもさ、桜姫は俺に手を差し伸べてくれた』
―――お前、強いな。
スッと手を差し出して立ち上がらせてくれた。
その時、初めて誰かに認められたような気がしたんだ。
それから俺の心は桜姫と共にありたいと思うようになった。
最初は、迷惑そうだった桜姫もいつしか折れてくれて一緒にいてくれるようになった。
嬉しかった。
『でも、そっから俺は狂い始めたんだよな……』
和は苦笑した。
ずっと一緒に居たくて桜姫と創った皇蘭。そこまでは良かったんだ。
しかし、皇蘭という中に別の誰かが入りだして、俺達の空間ではなくなっていく。
総長という肩書きとその強さに人は集まり、慕う。