月夜に舞う桜華
「………お前さ、雅龍って知ってる?」
「………は?」
「雅龍」
ジッと見つめられる。
雅龍、ねぇ………
「昨日まで知らなかった」
「へぇ」
「県で一番の暴走族らしいね」
「あぁ」
「この学校も殆ど雅龍」
「そうだ」
「それが?」
何だって?と首を傾けると、銀のメッシュはため息を一つ。
「俺は、その雅龍の総長」
「ふーん、で?」
「で?」
「うん、で?」
総長だから何?と聞けば銀のメッシュは目を見開いた。
「何も思わないのか?」
「は?」
「総長だぞ、俺は」
(………。)
もしかして、あれか?
よくあるパターンで恐れるか、媚び売るか。
どちらか希望?
それは、気づかなくて悪かったな。