月夜に舞う桜華



「――――本当に?」

「え?」


ピタリと朔夜は止まるとあたしから僅かに距離を取って顔を見合わせる。


「なんでも言うこと聞くってやつ」

「ま、まぁ……」


あたしに出来る範囲ならと答えると、朔夜はニヤリと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


何だか、嫌な予感がする。


「………よし、リハビリ行くぞ」

「え、朔夜?」

「で、俺はお前の家から荷物を運ぶ」

「は?」

「あ、ついでに解約しとく」


段々と話を進めていく朔夜にあたしは嫌な予感がする。


「さ、朔夜?まさか、」

「ん?……あぁ、心配するな。鍵はちゃんともう一つ作っとく」


嫌な予感的中。


朔夜の頭の中にはあたしが朔夜の家に引っ越すことになっているらしい。


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