月夜に舞う桜華
ゆっくりとあたしのペースで朔夜の所に向かう。
――――――っ。
さぁぁっと優しい風が頬を撫でていった。それと共に聞こえてくる声。
―――――桜姫。
昔以上に柔らかくなったその声にあたしは、足を止めて空を見上げた。
太陽が眩しい。
(―――――和。)
心の中で呼びかける。
直ぐに追いかけるって言ったけどまだ、当分そっちに行く予定はないみたい。
――――――幸せにな。
(――――ありがとう。)
あたしは、ゆっくり目を閉じ、開けた。
変わらぬ景色にあたしは微笑んで、朔夜の元に向かった。
―END―