月夜に舞う桜華
がっしり腰を固定されていて、動けない。
「いや、起きたいんだけど」
ぺしぺし乱れて露になっている額を叩く。
「………なんで起きる」
片目を開けて、朔夜は不機嫌そうに聞いてくる。あたしは、チラッとベッドの傍らにある時計に目を向けた。
「朝御飯の準備」
「………」
「大体、なんであたしの部屋にいるの」
「………別々とか有り得ない」
「今は無理だ、て言ったでしょ」
不満たらたらに朔夜は渋々拘束を解いてくれた。
よっと朔夜の上から退いて、床に足をつく。
ふらっと足元がふらついてよろめきながら立つ。
「椿、」
慌てて朔夜が起き上がって手を伸ばして支えてくれる。
「大丈夫」
小さく笑って「ありがとう」と言ってからあたしはぐうっと伸びをした。