月夜に舞う桜華
ガシガシと頭を掻いてあたしは立ち上がった。
「椿?」
「帰る」
チラッと朔夜を見た後、やれやれと肩をすくめて図書館の開けた窓に鍵をかけた。
何故かその後を朔夜がついてくる。
「――――なんなの」
「別に」
「(もう嫌だわ………)」
しっかり戸締まりを確認して、図書館を出る。
机と椅子の間をぬって通り廊下へ。
「じゃあ、さよなら」
もう二度と会うことはないでしょう。
てか、もう二度と会いたくない。
「あぁ、じゃあな」
「…………」
「…………」
「………ちょっと」
ギロリと朔夜を睨む。
「何だよ」
「離して」
こ・れ、とあたしの制服を掴む手を指差す。
「一つ、言っとく」
パッと離されてすぐに腕を捕まれる。