月夜に舞う桜華



「今日は、学校行けるよな?」

「そうね……そろそろ行かなきゃ」


頷けば、朔夜はホッとしたように息をはく。
頭の上に疑問符を浮かべると、気付いたのか朔夜は苦笑する。


「煩いんだ」

「誰が?」

「いろんな奴」


分かるだろ?と言われれば………思い浮かぶ幾つかの顔。


「あぁ………」

「だろ?」


顔を見合わせて苦笑。


そうだね。明日はその煩い彼らのために学校に行くとしよう。


「椿、ブラックか?」


二つのマグカップを片手に聞いてくる朔夜に、椅子に座りながら「うーん、」と頷く。


「砂糖、入れようかな」

「珍しいな」

「たまには、ね」


気分が良いし、甘くてもいいかな。


「ん」

「ありがとう」


お揃いのマグカップの片方を受け取って、礼を言う。


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