月夜に舞う桜華
雅龍
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『桜姫!!!』
『?どうした?ってぅゎっ』
名前を呼ばれて肩越しに振りかえれば、でーんと何かに体当たりされた。
身構えてもいなかったので、そのまま前に倒れ込んでしまう。
『っいたぁ……』
『ご、ごめんっ』
慌てて起き上がるそいつに、苦笑する。
『今日も元気一杯だなぁ』
『勿論!!』
『取りあえず、どけ』
『ごめっ』
飛び退いたそいつに頬を緩めた。
『一応、お前男なんだから』
『でも桜姫には一度も勝ったことない』
ぷうっと剥れるそいつの頬をつついた。
『そりゃあたしは総長だから』
『っ……いつか!絶対に桜姫に勝ってやる!!』
『はいはい』
『勝つからな―――!!』
そうやって闘志を燃やしていたそいつ。
そして笑うあたし。
幸せだった。
本当に。
失いたくないくらい、幸せだったんだ