月夜に舞う桜華
ゆらり、ゆらり
ガシャーンガシャーン……
遠くでガラスが壊れる音が聞こえてくる。それと一緒に、叫び声も聞こえる。
とにかく、煩い。
(毎日毎日、暇な連中だ)
あ、目の前で男が飛んでった。
耳にはお気に入りのイヤホンをつけて、iPodで音楽をガンガンに鳴らしながらあたしは悠々と廊下を歩いていた。
帝都高校。
県一素行の悪い連中ばかり集まってる所謂不良高校。
生徒数は男子八割、女子二割。
授業なんかあるわけない、かなり自由な学校。
(今日は天気いいし屋上かな)
そしてあたしも自由に過ごす。
毎日の気分に合わせて過ごす場所を変える。音楽を聞きながらのんびり過ごせるなんて最高じゃないか。
「ねぇねぇ」
「…………」
「シカト?」
まとわりつく視線とあたしの両脇を歩き出した二人の男にあたしはため息をついた。