月夜に舞う桜華
睨んでる朔夜に溜め息をついて、あたしは家の鍵を閉めた。
「………何しに来たわけ?」
「椿を迎えに来た」
「…………」
「ほら」
朔夜の手にあったヘルメットを投げられて反射的に受け取ってしまう。
朔夜は、隣に停めていたバイクに跨がって自分もヘルメットを被った。
「後ろ乗れ」
「…………免許は」
「あるに決まってんだろ」
早くしろと何故か急かされて釈然としないままあたしは朔夜のバイクの後ろに跨がった。
「バイク乗ったことあるのか?」
「………前に」
「へぇ」
エンジンをかけると久しぶりのエンジン音に体が歓喜で震えた。
「っ………」
それを隠すようにあたしは朔夜にしっかりとしがみつく。