月夜に舞う桜華



いつもは派手に跳ばしているのだろう。運転の仕方にそれが出ていた。
なるべく速くならないように、あたしに気を配っているように思えた。


(気配りなんかいらないのに)


そう思いながら、あたしは朔夜に捕まっていた。





暫く走ってから気付いた。


(あれ、学校に向かってない………?)


学校とは反対方向に走っている。
違う道から行くのかと思ったが、そうではないらしい。


(どこに行くわけ………?)


追求したいけど、バイクに乗ってるから出来ない。
まだ死にたくないし。


(ついてく相手間違ったわ)


はぁ、と大きな溜め息をついた。


住宅地からだんだんと離れていく。


(この男、何を考えてるのか……)


ため息しか出ない。


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