月夜に舞う桜華



………遠ざけないでください、か…


フッと小さく笑う。
遠ざける、遠ざけないの問題ではない。


あたしは、誰も近づけたくない。
ただ、それだけなんだ。


「椿さん?」

「………行くから」


チラッと晶を見上げてから歩き出す。
ここから、あいつ等にバレないように突破しなければならない。


あたしは、忘れていた。


「あ、おはようございますっ」


群がっていた男の一人があたしに気づくと挨拶してきた。
それがまわりに飛び火して、必然的にあいつ等にも気づかれてしまう。


(しまった……!!)


「椿っ」


キラキラと目を輝かせた四人は、まるで犬のようにあたしの方に走ってきた。


ざわざわと別の意味でざわつく。


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