月夜に舞う桜華



「俺の所に来い」

「それは話がついたはず」

「違う。仲間じゃない」

「?」


仲間じゃないなら、何故雅龍に行かなきゃいけないのだろう。
理由が分からない。


「………まさか、忘れてないだろうな?」

「?何のこと、っ」


グイッと突然引き寄せられ、あたしの体が傾く。
縮まった距離。


近くで朔夜の呼吸を感じられる。


「………俺の女になれ」

「!」

「お前は、やらなくていい。俺達が、雅龍が皇蘭を潰す。」


朔夜の目を見ればそれが嘘じゃないことが伝わってくる。


しかし、あたしは朔夜の腕を振り払う。


「………あたしは、一人で皇蘭を潰す」

「一人では無理だ」

「やってみなきゃわからない。」


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