月夜に舞う桜華
ギロリと睨むが朔夜は怯むことなく、どこ吹く風だ。
「相手は何人だと思ってる?」
「何人だろうと頭を潰したら終わりだ。」
「簡単にいくと思うか?」
「………当たり前だ」
敵は知れている。
あいつの性格も、行動も、癖も………嘲るのが得意なことも全て。
だから、直ぐに終わる。
「………」
「そういう訳……離して」
振り払おうと力を入れればあっさりと離れる朔夜の手。
思わずキョトンと目を瞬かせる。
「………たく、強情だな」
ポツリと何かを呟いたかと思えば、抵抗する間もなく、後頭部を掴まれたかと思えば、あたしと朔夜の距離はゼロになっていた。
柔らかいものが触れ合う。
(――――え?)
一瞬、何が起きたか理解できなかった。