密恋
「菜摘!」

後ろから翔の声が引き留めようとする。

振り向く分けには行かなかった

涙で化粧が落ちているだろう

夢の終わり

シンデレラのよう

あっ
しまった、シンデレラの様に上手く靴を落として来なかった

これじゃあ王子様に探して貰えないな

菜摘は、泣きながら家まで走った

「ただいま」

言うと珍しく母が書斎から出て来た
しまったと思った

「遅かったじゃない」

確実に怒っている母

「図書館に行ってたの」

平静を装いながら靴を脱ぐ

「へぇそんな可愛い服着て?」

更に低くなる母の声

「良いじゃない、たまには」

菜摘は、言うと家に入り
自室に行こうと階段を上ろうとした

「菜摘、これ何かしら」

言われて振り向くと
母の手には雑誌モデルにスカウトされた時貰った名刺

「勝手に部屋入ったのね」

菜摘は、母を睨んだ

「後これも」

母は、翔から貰ったCDを手にしていた

「それは、返して」

母から奪おうと手を伸ばす菜摘

「こんな物、あなたに必要な物じゃ有りません」

母は、怒鳴ってゴミ箱にCDを投げ捨てた
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