密恋
気付かれないだろう

菜摘は、軽く願いも込めてそう言い聞かせた

「お前、覚えて無いだろう」

翔の言葉に

何を?

と疑問に思い

「はい?」

と聞き返した

「やっぱしムカつくな」

睨んで来る翔

そんな事言われたって
分かんないもんは分かんない

「クラス替えの日の朝、会ったじゃん」

ため息をつき
今までとは違って寂しい顔つきになる翔

「絆創膏張り付けて」

絆創膏?

あっ、そういえば

クラス替えの日の朝
怪我をした人とぶつかったんだっけ

なんか帰るみたいだったけど

喧嘩した後みたいで
怪我してたから絆創膏張ってあげたんだ

あの時の男子、翔だったんだ

「思い出した」

呟く菜摘

「絆創膏、はぐのが大変だった」

とため息を着く翔

うっ

「だって傷がいっぱいあったから」

確かに10枚は大袈裟だったけど

「嫌味言うために呼び出したわけ?」

恥ずかしくて
つい怒ってしまう菜摘

「バーカ、そんな訳ないだろ。やっと自が出た」

ニコッと昨日の様に笑う翔

「はぁ?」

意味の分からない菜摘は、混乱して翔を見上げた

「それでも隠してるつもり?」

意地悪く笑い、菜摘を見下ろす翔
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