おれ、カノジョ溺愛中です。
ルカが席に着き、律義に両手を合わせる。
「いただきます」
むぐむぐと咀嚼する姿が小動物みたいだ。
ウサギに似ている。
そんなことを考えながらご飯を食べているルカを見つめていると、不意に彼女と目が合った。
「おいしいよ、ルキ」
「…そっか、そりゃよかった」
うれしそうに笑うものだから、心臓が跳ね上がる。
赤くなる顔を手で必死に隠して返事をしている俺の心境なんて、ルカはまったく知らないだろう。
「私ね、ルキの卵焼き好き」
ああ、その言葉から「卵焼き」という言葉が抜かれたらどれだけうれしいか。
今ちょっとだけ卵焼きが嫌いになった。
でもルカに首ったけの俺は、きっと明日の朝も健気に卵焼きを作るのだろう。
自分がかわいそすぎて泣けてくる。