おれ、カノジョ溺愛中です。


朝食を食べ終わったルカはようやく目が覚めたようで、さっきよりも動きがきびきびしている。

ところが急に壁にへばりつきだし、動かなくなってしまった。


「ルカ?どうした?」

「ねぇねぇ、ルキ」

「何?」

そのへばりついた姿はモモンガにもちょっと似ている。

「こうやって壁にひっついてたらさ、いつかは壁になれそうな気がしない?」

「……そうだね」


なれるもんか、なんて言うわけがない。

彼女がなれると言ったら、某ネコ型ロボットにも悪の大魔王にもなれるのだ。


俺の一言でルカの夢を邪魔するわけにはいかない。

「壁って冷たくって気持ちいいよね」

「うん」

「ずっとひっついてたいなぁ…」

今本気で壁になりたいと思った。

ずっとひっついていて壁になれるなら家で早速試してみよう。


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