王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「綾菜ちゃんが僕らをどう思っているかもわかったことだし、ここは強制執行するしかないかな」

「だな」

 御影と真坂がにじり寄ってくる。

 悪い笑みだ。

 身の危険を感じ、綾菜は一歩後ずさった。

「ちょ、ちょっと待って。まだ、こころの準備が……」

「琥珀は待てる? 変態美女の僕には無理」

「当然だ。意地悪眼鏡と言われて、おとなしくしているほど俺は甘くない」

 根に持つタイプだったらしい。

 二人はじりじりと迫ってくる。

 逃げなくちゃ。

 綾菜はさらに後退した。

 どんっ。

 障害物が背中に当たった。もう、これ以上は下がれない。

 絶体絶命。

 綾菜は身体を固くし、気絶の覚悟をした。

「俺のルームメートに許可なく触るな」

 あれっ? 意識がある。

 我に返った綾菜は、後ろから自分が抱きすくめられていることに気がついた。

 切れ長の瞳が甘く綾菜を見つめている。

「久我さん、どうして……」
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