王子様はルームメート～イケメン彼氏とドキドキ寮生活～

『キャーーーーーー！』

　続く言葉は、ホールを揺るがす黄色い大歓声でかき消された。

『嘘。久我くんだよ。公式の場に出るなんて久しぶり』

『スリースター揃いぶみ。感動っ』

　歓声はやまないどころか、ますます大きくなる。

「なんなの、これ」

　あまりの大音量に耳を半ば塞ぎ、綾菜は理佳に説明を求めた。

「気にするな。エサを見つけた雀がはしゃいでいるだけだ」

「気になるって」

　綾菜は、ひしと理佳の袖をつかんだ。

　面倒くさそうというよりは、理佳はうんざりした表情。

「……聞こえただろ。スリースターって言葉。そのまんまの意味」

　雫学園のアイドル。

　スリースターと周りから称される御影、真坂、久我の三人。

　一人でも人気はすさまじいが、三人揃うと相乗効果で女子がパニックになる。

　綾菜は身近な三人の男子が、伝説レベルの人気者だったことを初めて知らされた。