王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「なら、オマエがベッドで寝ろ。俺が床で寝る」

「そんなこと、させられないです。怖いのは私の都合なので気にしないでください」

 ラグは暖かいし、一晩眠るくらい大丈夫。

 久我のベッドを横取りするような真似をしたら、今度は申し訳なくて眠れなくなってしまう。

「オマエ、俺が女を床に寝かせて平気でいられる男だと?」

「いえ、それは……」

「ああ、そういえばオマエは俺を魔王だと言っていたな。魔王は冷たくても当然だということか」

 やっぱり根に持っている。

 ベッドを譲られるより、魔王発言を忘れてもらうほうがずっとありがたいのに。

「久我さんが優しいのは知っています。ただ、私は床でも大丈夫なので……」

 説得の途中で腕を掴まれた。

 抵抗するなら無理にでもベッドに上げるという意思表示だ。

 困った。

 怖いのを我慢して孤独に眠る気にはなれない。だからといって、久我を床に寝させるなど論外。

「そうだ。私、いいことを思いつきました」
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