王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「バーチャルで適当に済ませるくらいなら、リアルを前に悶々としていたほうがマシだ。だから、観ないし観たくない」

「……言っている意味がよくわかりません」

 久我の言葉は難解すぎる。

 かろうじて理解できたのは、観たくないと言ったところだけだ。

「通じる相手なら、こんなに我慢はしねーって。……ほら、もう怒っていないから、こっちに来い」

 足がしびれて立ちあがれそうもない。

 綾菜は座ったまま、膝すり足で久我のそばに寄った。

「ごめんなさい」

 怒りポイントがどこだったのかはわからない。ただ、自分が原因だろうことは確実。

 綾菜は上目使いに謝罪した。

「いいから。とりあえずリアルの充電をさせろ」

 ふわりと抱きよせられ、髪を優しく撫でられる。
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