王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
久我の親愛表現は、今では綾菜もお気にいりだ。大切だと言ってもらっているようで、すごく安心する。
「……不思議。胸のもやもやが消えちゃいました」
「どうした? 調子が悪かったのか?」
心配顔で覗きこまれた。
綾菜は小さく首を振って、自分から久我の胸へ顔を寄せた。
「そうじゃなくて。久我さんが、DVDを観るって思ったら、胸が苦しくなって。嫌だったのかな……。よく、わかりません」
久我に触れられていると、すごく素直になれる。
綾菜は思ったままを口にした。
「ったく、オマエは……」
髪に、瞼に、こめかみに唇がおりてくる。
綾菜はうっとりと目を閉じた。
「オマエの軽い一言は、下手なDVDよりずっとくるんだぞ。わかっているのか?」
久我の言葉が、夢見心地の耳に小さく響いていた。