王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「私には気を許せないのかな」

 一緒の部屋で生活していて、今まで察することもできなかったのは、久我が言動に用心していたからではないだろうか。

つまり、こころを許していないということ。

「久我さん、私といると気が休まらないのかも」

 ルームメート失格な気がしてへこんでしまう。

 仲良くやれていると思っていたのは自分だけだったのだろうか。

「綾菜。今、お前と一緒にいるのは俺だぞ」

「えっ?」

 気づくと、御影が背後に立っていた。

 目の前は本棚。御影の手は綾菜の顔を挟むように棚につけられている。

 逃げられない。

「久我の話題になっただけで、心ここにあらず。冗談じゃない」

「琥珀。気絶しなくなったからって、あんまり近づかないでよ」

 心臓がバクバクする。

 異性の近くという状況には全く慣れていない。

 御影はそれを十分知っているくせに。

 ホント意地悪なんだから。
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