王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「久我のことは平気で近づかせるくせに、俺には許さないのか?」

「……久我さんはルームメートだもの」

 綾菜にとってはすごく信頼できて、隣にいることが誰より心地よい同室者。

 久我がまだ心を許してくれなくても、いつか同じように思ってもらえるように頑張りたい。

「ルームメートね……。お前にとって、久我は今でも男じゃないのか?」

「当然でしょ。男のひとだと思ったら気絶しちゃうもの」

 最近は久我からだけでなく、綾菜からも触れることが多くなった。

 男性だと意識したらそんな真似はできない。

「じゃあ、俺は? お前は俺を明らかに男だと思っているよな。でも、気絶しない。慣れただけなのか?」

 首に息がかかるくらいに近い。

 マリン系のシトラスが鼻をくすぐる。

 久我のライトな香りとの違いが、余計にそばにいるのが御影だと意識させた。

「琥珀は……男のひとだよ。けど」

 緊張で胃が飛びでてきそう。

 久我へのように、身体を預けてしまっても安心とはさすがに思えない。

「けど?」

 耳元で響く声が甘い。

 いつもの意地悪な声音でないから、どうしていいのか戸惑ってしまう。
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