王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
「……友達だから、平気になったと思うの」
意地悪だけど、ホントは優しい。
御影はいつの間にか綾菜にとって、とても大切な友人になっている。
気絶しないのは、体質を克服したのではなく、きっと、身体の警告を無視できるぐらい信頼しているから。
「綾菜。お前、苛められたくて言っているだろ」
綾菜は最上級の賛辞として友達という表現をした。
なのに、返ってきたのはいつもの意地悪声。
照れくさいのを堪えて言った相手に対してあまりに失礼だ。
「……恥ずかしいのを我慢して言ったのに、苛めるってなによ」
「お前に友達だと宣言されて、喜べるはずがないだろ。このバカ」
「またバカって言った! 琥珀は私と友達でいるのは嫌なんだ」
――俺もずっと友達でいるよ。
綾菜が想像したのはこんなセリフ。
友情を確認しあう感動的な場面が、御影の無神経で台なしだ。
「嫌とかの問題じゃない。俺は友達宣言を受けいれられるほど、物分りがよくないだけだ」
御影は頑なに友達を否定する。
無神経なわけではなく、本気で迷惑なのだろうか。
心配になり、綾菜は御影を見あげた。