王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「休憩時間はとっくに終了だ。さあ、数式を解け。びしびしやるぞ」

 無理やり座らされた先には、まだノルマの半分も終わっていない数学の問題集。

 せっかく離れていた机に逆戻りだ。

「プロレス技みたいのをかけないでよ。く、苦しい。……解くから、頑張るから、首を絞めないでー」

 地獄のスパルタ教育。

 御影がいうギブアップは、勉強を諦めるという意味かもしれない。

 ちゃんと勉強をしないと、友達をやめるという脅し。

 正しいかどうかわからないけれど、綾菜はそれで納得することにした。

「どうして、同じところを間違う? 今度から、間違うたびにバックチョークをかけるからな」

「今度からって言ったくせに、なんでもうかけているのよ」

「うるさい。前払いだ」

 不正解のたびに、背後からぐりぐりと首を絞められる。

 御影先生はホント鬼。

 友情を失くしたくはないが、今にも白旗をあげそうな綾菜だった。
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