王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
 ――七十一点。

 答案用紙を握りしめる手が喜びで震えた。

 数学でこんな点数を取ったのは生まれてはじめて。

 うれしくて泣きそうだ。

「琥珀に報告しなくちゃ」

 この時間なら、ロボット部の部室にいるはず。

 綾菜は勢いよく扉を開けた。

「琥珀、やったよ」

 足元に散乱する部品をぴょんぴょんと避けて、一目散に駆けよる。

「綾菜」

 御影はロボットアームを調整中する手を止めてこちらを見やった。

「ねえ、見て。すごいでしょう?」

 胸元に答案用紙を押しつける。

 どんな賛辞がもらえるのか楽しみで仕方がない。

「これをどうコメントしろと? ボーダーギリギリ。この点数で褒められてもうれしくないだろう?」

「些細なことを指摘しないの。こんないい点数、もう一生取れないかもしれないよ。だから全身全霊で褒めてほしいのに」

「一生取れないって、お前の脳はどれだけ小っちゃいんだよ」

 賛辞でなく皮肉だったが、うれしすぎて気にならない。

 それになんといっても、この結果は御影のおかげだ。
< 180 / 191 >

この作品をシェア

pagetop