王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
「……半崎。オマエ、いつ御影に勉強を教えてもらっていたんだ?」
腕を引きはがそうと奮闘していた綾菜の耳に低めの声が響いた。
「久我さん」
振りかえった先には、パイプ椅子に足を組んで座る久我がいる。
御影に報告することばかりに気をとられ、いることに全く気がつかなかった。
「いつだ?」
抑揚のない声は、沈黙を許してくれそうもない。
綾菜はためらった末に口を開いた。
「授業が終わった後、図書室で教えてもらっていました」
「……わかった」
綾菜がなにか言おうとする前に、久我は立ちあがってきびすを返してしまった。
目の前で扉が開いて、閉じる。
「久我さん……」
久我が消えた扉を綾菜は呆然と見つめていた。