王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
三話
浴室の前で綾菜は膝を抱えた。
中ではシャワーの音がまだ続いている。
「なんで、そっけなくするの……」
さっきまでは最高の気分だったのに、どうしてこんなふうになってしまったのだろう。
「私の出来が悪いことを知って、呆れちゃったんだよね」
久我には数学な苦手なことも、期末考査が心配だったことも言わなかった。
御影との勉強会のことは、試験勉強を友達と一緒にしていると話しただけ。
教わらなければできない子だと思われるのが嫌だった。
「やっぱり知られたからこうなっちゃったんだよね」
男性恐怖症の体質だとか、怖がりなこととか、久我にはみっともないところを散々知られている。
その上、勉強までダメだとばれてしまった。
いいかげん、見放そうと思ったのかもしれない。
「もう、私と口をききたくないのかな」
部屋に戻ってから、ずっと久我はそっけない。
話しかけたら答えてくれるけれど、それも必要最小限。
どうしたらいいかわからなくて久我に触れようとしたら、お風呂に入ると言って避けられてしまった。