王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
「どうしたらいいの?」
綾菜は膝に顔を埋めた。
このまま小さくなって消えてしまいたい。
「あっ……」
シャワーがやんだ。
中でドアが開く音がする。
久我が浴室から出たようだ。
もう我慢できない。呆れられているのはわかっているけれど、ちゃんと話がしたい。
「久我さん、話を聞いて」
綾菜は脱衣所のドアを勢いよく開けた。
「半崎、オマエなにを……」
「久我さん……」
久我を見た瞬間、もとい久我の腰から下を見た瞬間、綾菜の身体も思考もフリーズしてしまった。
保健の教科書で、しかも図解でしか見たことのない場所がリアルに綾菜の目に飛び込んでくる。
――男のひとの裸。
久我になにを言いたかったのか。なにを話しあわなくてはいけなかったのか。
思いだせない。
はじめて目にするリアルな光景に脳の領域全てが占拠されてしまっている。
「男のひとの裸、見ちゃった」
許容量オーバー。
綾菜は卒倒した。