王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
どんなに注意しても、同じ部屋で生活している限り、久我との接近は避けられない。
いうまでもなく、久我隼人は男。
男性が近づくと倒れてしまう綾菜を、久我がベッドに運ぶことは、二人の間ですでに日常の光景になりつつあった。
同室者を毎日のように担がなくていけない久我には、もちろん申し訳ないと思っている。
本当に気がめいる話。こんな事実を聞いても、みんな面白くもなんともないだろうに。
「……久我くんが、綾菜を……抱いて……」
「……ベッドに?」
「うん、そう。抱いてベッドに運んでもらっているの」
こんなつまらない話を再確認までしないでほしい。
「キャーーーーーーッ!!!」
そっけなく返事をした綾菜の耳に、奇声が響いた。
「……バカ」
隣で理佳が、呆れたように呟いていた。