王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

「別に嫌だとか思っていない。ただ、あのまま続けられたら、理性が飛びそうだった」

 久我は綾菜から視線を逸らした。頬が少し赤くなっている。

 部屋は暑くないのに、不思議だ。

「理性が飛ぶ? どうしてですか?」

 久我が何度目かのため息をつく。

「オマエ、本当に今のままじゃ世間に出せないぞ。どうせ、押し倒されるのがどういうことかもわかっていないんだろ?」

「そんなの、わかっていますよ。手で押されるかして倒されることでしょ? 小学生にするような質問はやめてください」

「……東久保を呼んで説明させるか? いやダメだ。やつのことだから、こいつをフルボッコにしちまう」

 両手で頭を抱え、独り言を繰りかえす久我。

「大丈夫ですか?」

 心配になって覗きこむと、意を決したように久我は顔をあげた。

「オマエ、少し実地で学べ」
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