王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
「実地って…。えっ?」
肩にくるりと腕が回されたと思った瞬間、天地がひっくり返る。
天井のレリーフが目に入って、ようやくベッドの上で仰向けにされたことを理解した。
「オマエ、可愛いものには触りたくなるんだろう?」
「はい。どうしても撫でて確かめたくなるんです」
「……俺も、同じ」
綾菜の髪に久我の手が伸ばされる。
「な、に?」
ごつごつした大きな手が何度も撫でていく。
心臓が、おかしい。マラソンをしたあとのように大きくて速いリズムを刻んでいる。
髪を梳く手は、甘やかそうとしているように感じるのに、リラックスするどころか身体に力が入ってしまう。
「その目、反則」
その目と言われても、今、自分がどんな表情をしているかもわからない。
ただ、胸が苦しすぎて、瞳が潤んでしまっているだろうことはわかる。
「マジ、少し自覚しろ。あんまり無防備だと閉じこめたくなる」
久我は綾菜の顔に指を滑らせた。瞼から鼻、頬へと確認するように触れていく。
「……私、もう……ムリ」