王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

 耳元で久我の声が低く響いた。

「声、低い……」

 なにか、忘れている。

 この低い声は……男のひとの声。

 目の前にいるのは絵本の王子?

 違う。

 ――男の、ひとだ。

「半崎?」

 さーっと引いていく血の気。

「……やっぱり、私、ダメみたい……」

「半崎っ」

 暗くなっていく意識。

 かくして、今日も綾菜は久我にベッドまで運ばれることとなる。
< 53 / 191 >

この作品をシェア

pagetop