王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
交流会
一話
四つん這いになって、奥に入りこむ。
明治の時代は暖炉だった場所は、飾り棚のマントルピースを残し、今は収納スペースとして使われている。
「なにをやっているんだ?」
部屋の扉が開いた瞬間、背後から声が響いた。
綾菜はもぞもぞ這いでると、身体についたほこりを払った。
「久我さん、お帰りなさい」
出かけているうちに、と思ったのだが存外に早く帰ってきてしまった。
「ロボット部、終わるの早かったんですね」
全生徒はなんらかのクラブに所属するのが規則。
綾菜は、趣味と男子がいないという実益をかねて手芸部を選んだが、部屋でも作業はできるので、あまり部室には顔を出していない。
「面倒だから、途中でふけた」
「御影さんにまた叱られますよ」
「放っとく」
本人の意向に反して、幽霊状態にはさせてもらえないらしい。
同じ同好会の御影と真坂に聞いた話では、久我は競技会用ロボットの設計を任されるほどの優秀な部員。
学園でも、無理やり部活に連行される姿をみかけることがある。