王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
二話
暖炉前にぺたりと二人で座りこむ。
期待はしていなかったが、やはりこの部屋にリングはなかった。
「まあ、一ヵ所目でビンゴするはずはないな」
「誰かに見つけられて、捨てられちゃった可能性もありますしね」
学校の卒業生が地面に埋めるというタイムカプセルだって、いざ掘りだそうとすると場所がわからないことが多いと聞く。
暖炉に置かれていたリングなど、何人もの手を渡って、ゴミになっていてもおかしくはない。
「でも、まあ、可能性は少しでてきたな」
「可能性?」
綾菜は、ちっとも思い浮かばず小首を傾げた。
「オマエ、首を傾げるの癖だよな」
「そうですか?」
自分ではわからないなあと考えていると、さらに身体が傾いていく。
「うん。重力ギリギリまで身体が斜めになるのもよく見る」
「あっ、ホント斜めだ」
綾菜は反動をつけて身体を戻した。
「直せとは言わないが、気をつけろよ」
「なにを?」
意味不明。
綾菜は再び小首を傾げた。
「その仕草、結構、くるから」