~君を探してる~


side:昇輝




俺には会いたいヤツがいた。

どうしても、話してみたいヤツがいた・・

あまりに優しい音を奏でる、
その人に・・


- - - - - - - - -


あれは3年の先輩たちが部活を
引退して、俺たち2年がいよいよ
主役となった、

7月のある日。


俺は蒸しかえるような暑さの中、
グラウンドで、ただひたすら
ボールを蹴っていた。


『部活での練習とか暇すぎるだろ・・』


そう心の中でぼやきながら。



俺、倉野昇輝はこのサッカー部の

“エース”ってやつで、


小学校の低学年からずっと近所の
少年サッカーチームに入って
練習していた。


今でも週のほとんどは
そのチームで小さいころからの
チームメイトと練習しているため、

部活での練習は何か物足りず、
来ても適当にボールを蹴るばかり。



エースとはいえ、

面倒くさい部長のポジションは
仲のいい雅也に任せて、

俺は適当に副部長。



いくら何でも、


『そろそろ真面目に
部活やんねーとなぁ・・。』


そう思いながら冷たいドリンクで
頭を冷やそうとしたとき・・

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