色×iro~素顔のままで~
あたしが怖がるのを期待していた瀬野は、唖然としてる。

その目の前に、手をひらく。

カナブンだ。

あたしの手のひらで動きを取り戻すと、指先に向かってはっていく。

瀬野は、ガッカリして、呆れてあたしを見る。

「ごめん、怖くない」

言って、瀬野の首元にカナブンを返した。

ぎゃーっ

手で触るのは平気でも、そこには置いて欲しくなかったようだ。

あたしは走って逃げた。

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