色×iro~素顔のままで~
反射的に受け取る。

トモエが黙ったのは、連本人が真後ろから来たせいだったのか。

見ると、受け取ったのは何かのチケットで。

連は歩く速度をまるで変えずにそれをあたしに渡して

そして、さっさと歩き去ってしまう。

何が起こったのかがよくわからなくて、チケットを見つめたまま固まっていると 

「...ねえ、ここ、どこだか分かってる?」

トモエが言う。

どこって、渡り廊下だよ。

それがどうしたって...

トモエは、指を指す。

この渡り廊下は、校舎と校舎をHの形に繋いでいる。

窓も大きくて多くて、

教室から丸見えの位置にあって、さらにガラス貼り的で、中がよく見える。

...で今、好奇心たっぷりに、窓からこっちを見てる女子達が見える。

「え...」

「今、さりげなく、それ渡されて、受け取ったとこ、全部きっちり見られたね」

ただ、チケットらしきものを受け取っただけだ。

けど、物凄く、意味深なシーンに見えなくもない。

というかそういう風にしか、受け取ってもらえないんだろうなってことはわかる。

「...やっちまったね、連」

「攻められるのは、スイちゃんだねー」

...なかなかに、怖いことを言ってくれる。


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