色×iro~素顔のままで~
残りは、自分から、離れる。

「謝らないでくれ。

さっきも言ったけど、むしろ嬉しかったから」

「って、女の子に抱きつかれて?って、連ってあたしのこと、女だと思ってたの?」

連は立ち上がりながら、あたしを見た。

「それくらいで嬉しくないし、思ってた。わかった?」

自分の台詞と、連の返事をつなぎ合わせてみる。

女の子に抱きつかれたくらいで嬉しくないし、あたしのことは女だと思ってた。

・・・か。

「もう、独りでも大丈夫だよな」

「えっ?」

「実は、雷がおさまったら、速やかに帰れって、お母さんに言われてる。

鉄壁の信頼じゃないらしいな、オレ」

「何てひどい扱い...」

「いいんだ。今度、晩ごはんご馳走してもらうから」

連は、玄関を下りて、靴に足を突っ込む。




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