色×iro~素顔のままで~
「嫌でも、その時また来るから」

嫌な訳ない。

「待ってよ、外凄い雨だよ。もうちょっとおさまるまでここにいた方がいいよ」

言っても聞かなそうなので、腕を掴んで捕まえる。

連が少し低いところにいるせいで、同じくらいの背。

連が振り返る。

「...それと、ありがとう、来てくれて」

「...スイ?もう1つ、訊いていい?」

「え?」

「さっきの続き。...何でオレに助けて欲しかったの?

本当は、そこが一番訊きたかったんだ」

そうだった。

あたしは、イッセーさんの事が好きだったって過去形で言ったんだ。

それ、まだ訂正してなかった。

「ごめん。...あたし、連に惚れちゃった」

「過去形じゃ、ないんだ」

「カイトのせいだよ。あんなバラし方したから」

「オレは、あのせいでスイの夢えを壊したと思ってた」

雨の音が、聞こえなくなる。

「...帰る」

連は、ドアを一瞬で開けて、帰って行った。






< 111 / 141 >

この作品をシェア

pagetop