色×iro~素顔のままで~
あたしは、木田さんに覗き込まれながら、ちょっと考えてしまった。

かっこいい?

連を思い浮かべる。

わりと整った顔立ち。

そして、かわいい感じ。

「そうだね。考えたこともなかったけど、これからは意識してみるよ」

ちょっと意地悪な気持ちで、言ってやる。

木田さんが、急激に不安そうな表情になる。

はじめは、あたしのことを冷やかしに来ただけだと思ってたのに。

そうじゃなくて、これは、彼女の、意を決しての、偵察だったのだなって気付かされる。

なんて、あたしは嫌な奴なんだろう。

とっても意地悪な気持ちになる。

内心ニンマリ微笑んで、

不安で一杯の、木田さんの両手を、自分の両手でしっかりと掴む。

それから彼女に顔を近づけて、

「あたしの幼なじみが、ただの幼なじみじゃなくて、とっても素敵な男の子だってこと、
教えてくれてありがとう」

木田さんの目が、見開かれる。

それから、あたしの手を逃れて、逃げていった。

ショックな顔して。
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