色×iro~素顔のままで~
連が困った顔をした。

あたしは反射的に立ち上がって、気が付くと、連の傍にいた。

連の目が、さっとあたしを見つける。

それから、木田さんに目を向けなおすと、

「・・・ごめん、今オレ”ビジー”状態だから」

言って、さっと動くと、

あたしの肩をぽんと叩いて、逃げた。

え?

何、その『あとは任せた』的なタッチは...

あたしも逃げたくなる。

でも、それより早く、木田さんが振り返る。

あたしが傍に来たことには、気付いていたようだ。

驚く様子もなく、普通にあたしを見る。

「ビジー状態って、何?」

ええっ、あたしに訊くんだ。

焦ったけど、本当に困惑してる彼女を見て、ちゃんと答えないといけない気になる。

あたしはちょっと考えた。
< 54 / 141 >

この作品をシェア

pagetop