色×iro~素顔のままで~
いやいいよ、少々考えても。
でも、何だよ、この長い間は。
『悪かった』
とか
気を使うなら
『悪い気はしないよ』とか、適当に言ってくれればいいじゃないか。
なのに本気で考え込まないで欲しい。
「あのさ...オレにだって好みはある」
はあ?
待たせた上での、返事がそれか。
殴っていいかな、コイツ。
しっかり考えた答えがそれだってとこが、余計に腹立つ。
「だったら、もっと即答で言え」
「・・・そうなんだけど、言おうと思って、考えたんだ。
でも、スイなら、いい...かなって」
真面目な表情。
またちょっと、自分が壊れかける。
「・・・っていうのは、答えとして何点?」
連がニヤついている。
...また、引っ掛かった。
頭にくる。
もう許さん。
あたしは無言で、連の背中を手のひらで強めに叩きつけた。
「いい加減にして。もう、連なんか嫌いだ」
落ち込んでるかと思って、気にしてたのに。
あたし、からかわれて遊ばれてるじゃないか。
もう、知るか。
初めの、連のお願いを無視して、走って帰った。