色×iro~素顔のままで~

遠くでしか見たことのなかった憧れのヒトが、いきなり目の前に降臨しちゃってる。

しかも、その手はここにあったりする。

それを意識すると、本当にくらくらしてきた。

力が抜けそうになる。

憧れのアイドルなんかに実際会ってしまう幸運な目に会うと、ヘナヘナとその場に崩れてしまう子がいるっていうけど。

あたしは、今、その状況なんだ。

ふにゃりと、本気で身体から力が抜けた。

イッセーは驚いて、慌てて止めようとしてくれた。

けれど、あたしの体は、イッセーの、手のひらの下だった。

急速に脱力してゆくのを、止めるだけ、体勢を整えなおす時間がなかったと思う。

あたしはしっかりと、冷たい廊下に座り込んでしまった。
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