色×iro~素顔のままで~
連は、座り込んだまま、廊下に視線を落としている。
「悪かった。オレで」
悪かった、んだろうか。
ふっと思った。
「一応イッセーはやめとけ、って忠告はしたと思うけど」
「うん、された」
「けど、遠くにいるヒトだからかまわないって、あんまり取り合ってくれなかったけど。
・・・遠くから見ていたいだけだって言ってたのに、ごめん。
その正体がこんなに現実的に間近な人間で」
あたしは、とにかく、めいっぱい深呼吸をした。
それから立ち上がる。
連が手を差し伸べてくれたけど、首をヨコに振った。
独りで立てるから。
うっかり手を借りて、不覚にもドキドキしてしまったら、困るから。
・・・でも、何で困るんだろう。